2011年10月24日月曜日

代々木公園顔ってことですか?

こちらが代々木公園

しばらく前の残暑日のこと。
北参道から明治神宮にはいり、大鳥居の手前を西に折れて、うっそうとした杜へ入ろうとしたら、詰め所から初老の警備員さんが小走りに出て来て、「ちょっと。ちょっと。ここは、代々木公園じゃありませんよ」と、咎めるような調子で声をかけてきた。
見回してみても、近くには僕しかいない。自分に投げかけられた一言なのである。

え、なんで?

別に、ここ代々木公園ですよね?と尋ねたわけじゃない。
確かに、代々木公園と明治神宮は隣接している。なかには間違える人もいるだろう。しかし、こちらは、ここが明治神宮だということを認識し、北池の前に広がる、あの素晴らしい草原の木陰のひとつで、読書を楽しもうという確固たる意志をもって、やってきたわけで。
にもかかわらず、眼前に立つ警備員さんは、僕の姿を認めたとたん、「ぬぬ、あやつ、代々木公園と勘違いしている」と、即断、ダッシュをかけたのだ。
その根拠やいかに!

静かに瞼を閉じ、「こちらが、明治天皇の御霊をお祀りした鎮守の杜であることは、重々承知しております」と胸の前で合掌してもよかったが、40半ばにして人見知りの僕は、ごく普通の調子で「そうですよね。ここ明治神宮ですよね」とだけ、答えるにとどめた。
こちらの返答は、先方にも予想外だったのだろう、件の警備員さんは、一瞬えっという顔になったあと、「あ、そうですか。最近、代々木公園と間違える方が多いもので」という台詞と、曖昧な苦笑いを残して、詰め所に帰っていった。
全然腑に落ちない僕を残して。
こちらが、判断の根拠を尋ねる隙を与える間もなく…。

そうか、そうだよな。この服装だものな。いかにも、代々木公園にいそうだものな。なんならフリスビー投げそうだものな。股の下から。
そう納得しようとした、Tシャツ、短パン姿の私のすぐ横を、同じくTシャツ短パン姿の若者が、ヘッドフォンをシャカシャカいわせながら、玉砂利を踏み踏み通り過ぎていく…。
見回すと、付近は、Tシャツ短パンだらけである。
なかには、不安そうに、案内板とガイドブックを交互にみている、外国人バックパッカーの姿さえも。
なぜ、彼らはスルーで、僕アウト?

ひょっとして、代々木公園っぽい顔とか、あるのだろうか?

こちらは明治神宮 北池前の草原。春秋、静かに過ごすのにおすすめ

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